ワークショップレポート

▶ レポート番外編 ドアーズ11thのワークショップ勉強会!

2017/06/29 ( 22:53 ) │ ワークショップレポート

ドアーズの勉強会ももう3年目の中脇健児先生登場です。
場とコトLABの代表で、ワークショップデザイナー推進機構の理事をされています。

『ワークショップのプログラムを分解する』
こちらが今日の目的。今日やったことはつまりこういうことなのでは?という事を振り返り、自分で分解してみることにで学びに繋げます。

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さて、今回のワークショップ勉強会は過去2回のワークショップ勉強会のおさらいのような回でした。
①回目を基礎編 http://www.iwf.jp/report/category_937/item_1342.html
②回目を発展編 http://www.iwf.jp/report/category_935/item_1559.html
③回目(今回)をおさらい編

のように見ていくと、非常に勉強になります!
こちらが配られたレジュメ。後ほど解説があります・・。

 
まずはアイスブレイク!
今回も変わった(楽しい)自己紹介から始まりました。

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中脇さんのワークショップ勉強会は、毎回この趣向を凝らしたゲームも魅力の1つ。
去年のサポートスタッフ説明会では、勉強会で出てきた自己紹介方法を使ってサポスタさん同士の理解を深めました。これが本当に効果的に働いて、去年取り入れられて良かったと思うことの1つです。


二人組の自己紹介や、トランプを使ったグループ分けによる自己紹介、さらにまた違うグループを作っての自己紹介に次ぐ自己紹介。の後に、講義。
今回の勉強会は、『ワークショップのプログラムを分解する』がテーマですから、「単に自己紹介楽しかった~~~」では終われない所。流れの意味を考えつつ、空気を切り替えて講義に移ります。



『ワークショップって何?』



最初に配られたレジュメに戻ります。
穴埋めにはどんな言葉が入るでしょうか?ぜひいっしょに考えてみましょう。



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《 答え 》
「一方的」な知識や技術の伝達ではなく、「正解」があるわけでもない。
参加者それぞれの「ちがい」をきちんと認識し、参加者が体験して得た「発見・経験」を大事にします。
グループの「相互作用」の中で、学び合いともに作り、体験する心身ともに「安心・安全」な場作りを心がけます。


・・・・・、
すごくシンプルな文章だけに、なかなか伝わり辛いですよね?

下記に中脇さんの解説を載せています。
そもそも、「一方的な知識の伝達」に対してなぜワークショップというスタイルが求められるようになったのか?という点から、ワークショップとはどんな場を指すのか解説しています。

(「一方的な」というと学校の授業形式を思い浮かべますが、今は学校教育でもワークショップ形式の教え方が求められているそうですね。)


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《 中脇さんの解説 その1 》
まずは①の一方的。教室型の教師→生徒の一方向による講義スタイルでは、答えがわかっている場合や、効率良くいかに最短で多くの人に教えるかという大量生産の場などに有効。
しかし正解だけが目的ではない、一人一人の考え方や過程を重視する現代の学びに対してその方法は有効ではない。そこで求められたのが、ワークショップやファシリテーションという手法になる。

正解を求めることが目的ではないという学び、では一体何を認めていくのか?認めていく場になるのか?
そこで正解の代わりに認めていくものが、違い=多様性になる。

そうは言っても、正解があるわけでもなく「違い」を認めていきましょうというのは、実際何をすることなのか?その場全体で、一体何を紡いでいくのか?

(確かにこのままだと、参加者全員で路頭に迷ってしまいそうです・・・)

この「違い」を認めていく行為は、参加者それぞれの「発見・経験・実感」の尊重へと繋がっていく。1つの正解、1つの成果、予め決められたルートを辿っていくのではなく、参加者が自分自身で、「私はこう思いました」と思える発見・経験をしていくことがワークショップでは重要。

(つまり、それぞれが違う答えを出しても、同じ材料なのにえらい違う物を作ったとしても、それが個々の発見。そこを認めていく所から始まるということですね)

そして「私が私が」ではなく、場全体として、自分の体験だけでなく相互作用=お互いが作用し合うことが大事。こういったやりとりの中で、場が1つの知見を紡いで行く。

その中で、ワークショップ講師に求められる大事な振る舞いがある。それは、「安心・安全」の場作り
対立が起こったとしても、トラウマを残すような風にはせず、しっかりフォローをする。
「安心・安全」というと、「怪我しないように」という身体の安全対策を考えがちだが、「心の安心・安全が守られているかどうか」というのは、運営する側の非常に大事な責務。
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教える・教わるではなく、「学び合い」
教える・教わるを越えた中で、講師側も学ぶことが重要。自分も学ぶということを意識すると、大分と人前に立つプレッシャーも楽になる。(解説ここまで)

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学び、しかないですね・・・・・・・・・・・・。
これを読まれているのは講師の方が多いと思いますが、それぞれ異なるジャンルに置き換えても学ぶポイントがあると思います。
本当に多くの要素が詰まっていて、私たちドアーズの事務局という立場に置き換えても、協働という観点から見るとまた非常に学ぶことが多いです。

これだけ多くのことを学びましたがこれはまだ前半。
後半はこんなことをしました。







そして全体の流れはこのように。

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【前半】
 ①4つの自己紹介
 ②トランプでグループを作って自己紹介
 ③車座になって自己紹介
 ④講義

【後半】
 ⑤ジャンルを軸にしたグループワーク
 ⑥3人羽織の折り紙
 ⑦沈黙のペーパータワー
 ⑧沈黙のペーパーシティ
 
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後半に入る前に再び中脇さんの解説を挟みます。

《 中脇さんの解説 その2 》
『ワークショップをデザインするって?』
後半の中でみなさんに意識して欲しいことはこちらの3つ。

①「関係」
どういった関係の構築を目指すのか。どんな人たちがその日集まり、それが最後にどんな風な関係になったら良いか。
②「方法」
その為のツールや方法、喋りやすいきっかけ作り。
③「構造」
コミュニケーションの構造のデザイン、少しでもリラックスしたり、場の雰囲気を変えたり。それを構造からデザインする。

これらを上手く取り入れて行くと、自然に自己開示できたり、狙っているような方向に到達し易い。参加しながら自分の気持ちがどう変化してきたのか意識し、メタ的に自分を観察してみよう。
後半のワークでは自分の変化を敏感に感じながら、「気持ちが楽になった」「変わらない」など、ワークの作用による心境の変化に焦点を当てる。


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「京都造形大学マンデイプロジェクト」オリジナルのペーパータワー



《 中脇さんの解説 その3 》
『プログラムを分解する』が今回の勉強会テーマ。

(後半の中で意識して欲しい3つのことの「関係」、「方法」、「構造」を改めて思い出してみましょう。)

本日やってきた一連のプログラムを分解する。
どういった方法で組み立てていたのか?どうやってコミュニケーションの構造を変えていたのか?どういう関係性の変化・心境の変化があったのか?ここが使える・工夫どころがあったのではないか?ということを振り返る。
どういった人数規模でデザインして、どういった問いで質の変化があったのか。

(参加者からの感想)
・緊張が溶けたターニングポイント:WSジャンルごとのグループ分けをして同じ仲間が集まったときにほっとした。自分と話が通じ合う人がたくさんいた。
・「3人羽織り」「ペーパータワー」などで沈黙などの制限がかかったときにチーム感が出てきた。制限がありながらも同じ目標に向かって協力出来て、初対面だけど繋がりが生まれた。「ペーパータワー」のときも、お互いに目を見て動いて、一体感が出た。
・思い出に残ったことを出し合った結果、アイスブレイクの事がたくさん出た。短い時間の中で少しずつレベルアップしていくような内容だった。
・最初は言葉を使った自己紹介から、背中に貼られた紙に自分の印象を書かれたりそれを他の人から読まれたり、集中と刺激によるドキドキがシャッフルされることで緊張感が和んだ。
・WSジャンルごとに別れたことで、色んな人がいる新鮮さを感じた。
・途中のゲームで競争の要素があることで場が盛り上がった。それぞれの行動に違いがあり、個性がわかって相手を感じられるようになった。

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《 中脇さんの解説 その3続き 》
(参加者の感想に触れつつ、中脇さんの種明かし。非常にどれもこれもが故意的に仕掛けられている事がわかります・・・。)

【前半】
何者であるか、参加者同士来た理由をあまり言う機会を作らず、社会的背景に縛られないフラットに喋り合う場を作った。

【後半】
三段階設計にして、場をほぐしてからWSジャンルを軸にしたグループトークに移っていった。ここで「動的判断」を入れて、もしグループ同士での大きく盛り上がっていたら時間を伸ばしたが、みんな他のグループの様子にも興味を抱いてる様子だったので伸ばさずに進めることを優先した。

・構造的にいくと、最初は2人組の小さな単位、次に3-4人ぐらいの少し大きなグループ、最後は全体を巻き込むような形でコミュニケーションの構造を変化させた。
「沈黙」等の制限を入れることで心理的な変化を作ることを純粋化させたかったので、あまりこれ以降はコミュニケーション単位の構造を変化させることはしなかった。

・ワークショップ=コミュニケーション=喋るというイメージをみなさん強く感じているのではと思い、あえて「沈黙」という制限をかけた場でのコミュニケーションを体験してもらった。制限や不自由さが逆に内容を面白くすることもある。
特に「目を見て喋る、目を見て意思疎通」というのは非常に高度なこと。喋ってはいけないという制限によって集中も高まった。

・競争要素は盛り上がるものの、なるべく優劣の軸を多くすることで、勝ち負けだけでは終わらない気持ちの面での安心設計にすることができる。


※横軸に行った内容、縦軸に「方法」「構造」「関係性の変化」という図になっている。
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《 中脇さんの解説 その4》
『ワークショップをデザインする人に問われる力』

①「時間」
時間をデザインする。与えられた3時間をどうデザインするか、時間をきちんと作る。(勉強会は毎回3時間で終わる)どう設計するか考える。

②「プロセス」
半年や1年の単位で長い形で人と関わりながら、ちょっとずつ変化を大事に育てていく。

③「質問」
相手に気付きを与え、参加者の理解を促す。
参加者の答えに対して質問を投げかけ、表面的な言葉でない、その人がどう思ってその言葉を使っているのか質問することによって考えを引き出し、気付きを作る。
問いのデザインは、ワークショップにとってもファシリテーターにとっても、重要ではないかと思う。



-「おわりに」ワークショップで気をつけたいこと-

基本的には、決められた結論には誘導しないこと。これが重要!
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だからなるべく要所要所に場を見て変化させていく。
なんとなく「誘導されたな~」とか「納得させられたな~」と思わせるのは本意ではないので、そうでない場作りを心掛けてみましょう。


(終わり)


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さて、今回の文字起こしは以上です。自分のワークショップを同じように図式化して見直てみるのも面白いですよね。
「なんとなく」でやってしまうのではなく、ポイントポイントで仕掛けを入れて、反応を試して行けたら建設的です。

今回は、途中にあったワークショップのプログラム組み立てを山登りに例えて説明してくださる所や、山登りのメンバーに例えて状態確認を行う所などはカットしています。
昨年や一昨年のワークショップレポートでも取り上げられているので、そちらから参考にしてくださいませ。

今年もみなさんにとって実り多い夏になりますように。